米大手IT決算のコンセンサス

2020年1-3月期決算発表

今週の米国株は日本時間29日朝のアルファベット(GOOGL)を皮切りに「Big Tech」企業の決算が続々と発表となる。翌日にはフェイスブック(FB)、マイクロソフト(MSFT)、翌々日にはアマゾン(AMZN)とアップル(AAPL)が控える。



米株投資家にとって最も知りたいことは、現在の戻り相場を信用してもよいのかどうかということだろうが、正直それは誰にも分からない。私は年間を通して最大の山場となるのは年央、恐らく4-6月期、7-9月期決算あたりになると予想している。ただ1つ言えるのは多くのアナリストがコロナ問題による業績下振れリスクを甘く見ている可能性があるということだ。米国企業の2020年通期コンセンサスは、経済が早期に回復することを前提に作られており下振れリスクが高い。



しかし仮に業績が下振れしたとしてもマーケットも同じように下落するかどうかは分からない。理由は簡単でFRB、ECB、日銀による大規模な緩和バブルがあるからであり、バランスを取るのが難しい。また今回の決算発表の対象である1-3月期はまだまだコロナ問題による影響が限定された時期であり、最大の落ち込みになると考えられる4-6月期を含めた通期実績の見通しが明らかになるまでは結論は出ない。



アルファベットとフェイスブックの予想コンセンサスは大きく割れている。

アマゾンの2020年通期売上高は、前年比+20.7%の3,385.4億ドル程度が予想されているがこれは妥当だろう。Stay Homeやテレワークの影響によりECやクラウドの利用は大幅な増加が予想されている。またマイクロソフトについてはPC販売の落ち込みは避けられないないだろうが、絶好調のアジュールが支えることから2020年の予想売上高+11.3%は可能なレベルだと思っている。



しかしグーグルとフェイスブックの業績予想は極めて困難だ。コロナ問題以降、Facebookのメッセージは1.5倍、ビデオ通信は2倍に膨らんでおり、さらにアルファベット傘下のYouTubeの視聴時間は大幅に増加しているのだが、肝心の広告主が大幅に減少していることからトラフィックの増加を収益化できていない。1-3月期は旅行関連の落ち込みが大きいだろうが、ウォール・ストリート・ジャーナルによるとフェイスブックの広告単価は2-3月の間に15〜20%下落したとのことだ。4月に入ってさらに広告単価の減少が進んでいる可能性が高いが、とあるYouTuberは収益が4月に入って30%以上減少したことを報告している。



アルファベットの2020年通期予想売上高は前年比+3.5%1,675.22億ドル、フェイスブックが前年比+8.2%の売上高予765.1億ドルが予想されているが、年後半のV字回復がなければなかなかハードルが高い予想かと。個人的にフェイスブックが減収まで行く可能性は低いと思うが、アルファベットについてはもしかしたらあり得るかと思っている。ただいずれにせよ2社の長期的な成長性には何ら問題はなく、もし決算が予想を下回って下落するようならば買い候補に上げるべきだろうと思う。


2020/4/27時点データ
引用:https://finance.yahoo.com/

決算:2020/4/28現地
アルファベット(GOOGL)
2020年1-3月期 売上高予想403.8億ドル(前年比+11.1%)
2020年4-6月期 売上高予想369.7億ドル(前年比-3.1%)
2020年通期 売上高予想1,675.2億ドル(前年比+3.5%)、EPS予想40.99(前年比-16.6%)

決算:2020/4/29現地
フェイスブック(FB)
2020年1-3月期 売上高予想175億ドル(前年比+16.1%)
2020年4-6月期 売上高予想170.2億ドル(前年比+3.1%)
2020年通期 売上高予想765.1億ドル(前年比+8.2%)、EPS予想7.5(前年比+16.6%)

決算:2020/4/29現地
マイクロソフト(MSFT)
2020年1-3月期 売上高予想336.4億ドル(前年比+10.0%)
2020年4-6月期 売上高予想363.8億ドル(前年比+7.9%)
2020年通期 売上高予想1,401億ドル(前年比+11.3%)、EPS予想5.54(前年比+16.6%)