スノーフレイク(SNOW)のバリエーションは常軌を逸している。

初日の終値に基づく時価総額は約700億ドル、実績PSR175倍

昨日米国市場に上場したスノーフレイクの株価は、公開価格から111.6%高の253.93ドルで引けた。

・時価総額700億ドルは、過去1年間の売上高(ttm)4億ドルの約175倍。

・今年2月の資金調違ラウンドで得た124億ドルの評価額はわずか半年で5.6倍に。

・ファクトセットによると年間売上高が4億ドルを超える企業の中で、PSR(株価売上高倍率)が最大の企業に。

(参考PSR)

Zoom VideoのPSRは86.1倍、Shopifyについては51.2倍だ。スノーフレイクのPSRはZoomの2倍、Shopifyの3倍の水準にある。※ 2社のPSRは9/15時点であり、売上高は過去1年間(ttm)を利用。


まともな投資家ならば株価が利益の175倍でも躊躇するのだが、まさか売上高の175倍というのは信じがたい数字だ。コロナ以降のバブル相場を象徴するような上場となったが、最近は一部の成長企業への期待値は明らかに高すぎる。またウォーレン・バフェット率いるバークシャー・ハサウェイやセールスフォースらの投資は人気に拍車をかけたかもしれないが、彼らは公開価格で購入している。また堅実なバークシャー・ハサウェイが投資したとのことで安心する投資家がいるかもしれないが、今回の投資は明らかにバフェットではなく、後継者と目されるTodd Combs氏やTed Weschler氏が主導している可能性が高い。

売上高推移(SnowflakeのS-1より引用) 

売上高成長率

・2019/1通期の売上高は9,670万ドル

・2020/1通期の売上高は前年比+174%の2.65億ドル

損益

2019/1通期の損失額は1.78億ドル

2020/1通期の損失額は3.49億ドルと2倍に拡大。

2020年2-7月期の売上高は前年比+133%の2.42億ドル、損失額は1.71億ドル


Snowflakeはオラクルの出身者らが中心となり2012年に設立されたクラウド型のデータウェアハウス(DWH)企業だ。今や企業がITシステムをクラウドへ移行させる理由について、改めて語る必要はないだろう。同社は AWS、 Azure、 GCP( Google Cloud Platform) 上にデータウェアハウスを展開し、莫大なデータを格納し分析するサービスを提供している。

企業のITシステムは今やオンプレミスやクラウドが入り混じり、複雑かつ多岐にわたっていることも多い。データを一元管理しようとも高い確率でサイロが発生したり、また莫大なデータ処理に多くの時間が費やされてしまう。

同社はストレージとコンピューティングが独立して動作するアーキテクチャーが特徴で、それによって複数のワークロードを同時処理できる。導入事例を見るとDoorDashは2019年の初めにデータをSnowflakeを導入したことで、データ処理速度が2倍となり、コストは半分で済んだと言う。一般的にはAWS のライバル製品「レッドシフト」よりも高速処理が可能で、料金が割安だとの評価を受けている。


事業内容だけ見れば間違いなく投資先として検討したいが、現在のバリエーションでは可能性はほぼゼロ。一応確認したS-1内容だけまとめておく。

・同社は市場規模を810億ドルと見積もっている。(2020/1時点)

・キャピタル・ワン傘下の Capital One Servicesが最大の顧客。売上高に占める割合は2019/1期の17%から2020/1期には11%まで低下し、今期は10%以下になる見込み。特定先への依存度は低い。

・2020年1月期の新規顧客数は1,400社。2020年7月31日の時点で、Fortune10のうち7社、 Fortune500のうち146社が取引先。

・顧客はキャピタル・ワン、ドアダッシュ、ネットフリックス、 オフィスデポ、 ヤマハなど。

Snowflakeのライバル企業であるYellowbrickのCEO、Neil Carson氏はスノーフレイクの弱点として Amazon、Microsoft、Googleのクラウドプラットフォームに完全に依存しているこを挙げる。これらの企業は最大のライバルでもあり、スノーフレークに対して価格を引き上げる可能性があるという。またSnowflake自身もS-1にて、クラウドベンダーが競合製品をバンドルし、不利な価格を提供したり、有利な立場を利用されるリスクについて述べている。