短期的なマーケット予測は不可能
米国株投資家にとって最大の関心事は、火曜日から始まる今週のマーケットが果たして下げ止まるのかどうかだろう。S&P500への採用が見送られたテスラ株主は戦々恐々としているに違いないし、市場を仰天させたソフトバンクの巨大ポジションの行方も心配だ。
結論を言えば目先上がるか下がるかは誰にも分からない。これはいかなるプロでも同様だ。つまりあなたの心配を和らげる手段はないのである。
しかし投資家というものは弱いもので、不安な時はついつい甘い言葉が欲しいからアナリストの声に耳を傾ける。そしてそれを求める人がいるからアナリストは占いを始めるのである。
投資家が知るべきは明日の天気ではない。将来の可能性についてしっかりとシュミレーションし、下落時でも冷静に対応できるよう備えるのである。過去2年間の大幅下落を振り返れば、S&P500は2018年末にかけて約20%、コロナ時に約30%程度下落した。米国株の現在のバリュエーションを考えれば、やはり20%前後の下落は常に想定しておくべきで、それが耐えられないのであればポジションを落としておくしかない。
市場を混乱に陥れる可能性がある不安要素は、今のところ大企業のデフォルトや米長期金利の上昇といったところが現実的だ。信用不安と長期金利上昇は株式市場にかなりのダメージを与えるが、現在のようなナーバスな状態で起こるとインパクトも大きい。単にマーケットの調整だけで済めば回復は早いだろうが、新たな材料が加わるとなると調整は長引く。
日本でも米国株投資はちょっとしたブームとなっているが、短期間で都合よく利益を取って逃げるつもりならば、それはあまりオススメしない。世の中には短期投資で莫大な資産を稼ぎ出す強者がいるが、あくまでほんの一握りの話だ。彼らの戦略は蓄積された経験と洞察力による賜物であり、誰もが習得できるものではないし、教えられるものではない。
長期投資は全てを解決する。
株式投資の王道はやはり長期投資だ。時間を味方につけることでリターンを最大化し、またリスクを最小化することができる。さらに分散を加えることで最適な結果が得られることは明らかだ。そして今まさに多くの投資家が抱えているマーケットに対する不安も解決してくれるだろう。
成功している長期投資家にとって現在の下落など誤差でしかない。バリュエーションの高さから売りたい欲求に駆られることはあるが、それが悪魔の囁きであるも熟知している。さらには支払う税金が莫大で、元手を削りたくないから基本的にひたすらバイ&ホールドを繰り返すだけである。そして短期投資で重宝されるテクニックは全て無視し、企業業績と長く向き合っていくからこそ、一般投資家よりもはるかに重厚なのだ。
特に短期投資は市場の気まぐれや運に左右されるため、未熟な投資家は混乱に陥りやすい。さらにどうしようもない不確定要素を明らかにしようとして、ドツボにハマる。一方で長期投資の成果はほぼ業績に連動する。つまり外しても言い訳ができないのだが、無数のノイズを排除することで余計なことを気にしなくて済む。多くの人にとっては最適な投資方法であるのだ。