NTTによるドコモ買収について思うこと

既にドコモ株の3分の2近くを保有するNTTが、TOBに4割ものプレミアムをつける妥当性については難しい問題だ。これは長年議論されてきた少数株主の問題へ配慮した形だろうが、一方で高い支払いを求められたNTT株主にとっては明らかにマイナスだろう。買収発表前の水準で見てもドコモのバリュエーションはソフトバンクやKDDIよりも高かった。また51%からTOBを仕掛けた伊藤忠によるファミリーマート買収は、ヘッジファンドの抵抗をうけたものの最終的には30%程度のプレミアムで済んだ。

NTTの場合、少数株主から全ての株を買い取るために4兆2,500億円を費やし、年間利益はおおよそ2,000億円増加する計算だ。(もちろん今後利益が下振れしないことが前提だが。)今回の買付資金はほぼ銀行借り入れで賄われるそうだが、調達コストを無視しても投下資金に対して5%程度のリターンしか生み出さない。 PERで考えると 21倍程度のバリュエーションで買う計算になるが、 成長性も乏しく、余程シナジーを出さない限りいい買収とはなり得ないだろう。さらに負債額は倍増し、9兆円を超える。

しかし日本の未来は苦しい。日本を代表する大企業であるドコモは海外投資をすればことごとく失敗し、 国内事業は競争激化に値下げの圧力。辿り着いたのは旧態依然の旧組織に再び組み込まれるという衝撃的な結末。再編による合理化、事業間のシナジー、聞こえはいいが輝かしい未来が一切描けない。