ピンタレスト(PINS)の決算は足元の好調さはもちろん、将来性をさらに感じさせる内容だった
2020年10-12月決算
・売上高は+76%の7.06億ドル(予想+61%の6.46億ドル)
・EPSは0.43ドル(予想0.32ドル)
昨年来、大幅に引き上げられてきたコンセンサスを軽々とクリアし、21年1Qの見通しは予想のはるか上を行くものだった。
ピンタレスト(PINS)の決算コンセンサス
— Nave (@Nave_tweets) January 16, 2021
10-12月期の売上高予想は、
昨年9/5時点+30.1%の5.2億ドル→21/1/15時点+60.8%の6.4億ドルへと成長率は2倍に引き上げられた。
21年通期売上高予想は、
昨年9/5時点+33.6%の19.3億ドル→21/1/15時点+42%の23.2億ドルへhttps://t.co/7TZ27ZoTsw
Pinterestの売上高s |
・重要な指標である月間アクティブユーザー数(MAU)は4億5,900万人で、調査会社FactSetの4億4,940万人を上回った。
・2021年1Q(1−3月期)の見通しについても売上高は70%台前半の成長率を予想し、市場予想の+57%を大幅に超えた。これまで保守的な予想を出し続けてきた同社のスタンスを考慮すれば、1Qの成長率はさらに上振れることは間違いない。
優れたビジネスモデルは、コロナ下で成長を加速させる
Pinterestを理解する上で、まず人との交流を目的としたFacebookやSnapchatとは大きく異なる会社であるとの認識が必要だ。その本質はビジュアル型検索エンジンにあり、視覚的な体験をサポートする利己的なプラットフォームにある。人の投稿を見たり、メッセージのやり取りをする目的ではなく、あくまで自分が好きなもを見つけるためのツールとして機能している。より詳しいビジネスモデルについては過去記事を参照。
本日のearnings callでCEOが語っていたように、ピンタレストユーザーは買い物目的で利用するケースが多い。2020年はコロナの影響もあり、同社のプラットフォームで商品を検索する回数は20倍に増えたとのことだ。別の目的で来たユーザーを誘導する必要があるSNSとは異なり、広告で気を散らす必要もない。
さらにAppleのIDFAのポリシー変更は同社にとって追い風になる可能性すらある。広告のパーソナライズ化のためにアプリの履歴を利用できないとなると、調べ物に来るユーザーを集める同社のプラットフォームの優位性は高まるからだ。
デジタル広告の市場規模は大きく、2020年のアルファベットの売上高は1,825億ドル、フェイスブックの売上高は860億ドルにのぼる。
成長の余地は大きい
1人あたり収益の余地PinterestのARPU(1人当たり収益) |
FacebookのARPU(1人当たり収益) |
ピンタレストのユーザー1人当たりの収益(ARPU)は1.57ドルに対してフェイスブックは10.14ドルと6.5倍。最も収益性が高い米国に限っては、ピンタレストの5.94ドルに対してフェイスブック(米国&カナダ)は9倍の53.56ドルだ。
今回の76%の増収はユーザーの増加もさることながら、ARPUが29%増加したことが大きいが、まだまだ余地があることは明白だ。ちなみにピンタレストのユーザーはどのSNSよりも収入が高いことが明らかになっており、ユーザー数で追いつくことは無理としてもARPUはいずれフェイスブック並になるはずだ。さらに月間アクティブユーザー数(MAU)は37%増加して世界全体で4億5,900万人となったが、フェイスブックはその6倍の28億人いる。
国際市場の拡大はこれから
4Qの米国の月間アクティブユーザー数は+11%の9,800万人に対して、国際市場のアクティブユーザー数は+46%増の3億6,100万人。4Qの米国売上高は+67%の5.8億ドルに対して、国際収益は+145%の1.2億ドルと成長率では国際市場が米国市場を大きく上回る。
しかしユーザーの爆発的な増加とは対象的に、国際市場のマネタイズは遅れており特にショッピング機能の導入はまだまだ初期段階だ。かねてより海外市場への対応の遅さは気になるところではあったが、余地が大きいことの裏返しでもある。
eコマースとの連携
Shopify(SHOP)とのパートナーシップは同社の顧客基盤を確実に強化している。ショッピング機能を利用する広告主は4Qには6倍に増加したとのことだが、同社は広告主が増加する程、よりパーソナライズした魅力的な広告が展開できると語る。また広告のフィードバック機能強化や、中小企業向けの予算を管理した自動ツールの提供は、さらに広告主の拡大に寄与するだろう。また前述したIDFAの問題が深刻化すれば、特にSnapchatのような広告媒体の魅力は削がれ、特にeコマースとの相性がいいPinterestはさらに飛躍を遂げるかの可能性が高い。
Pinterestへの投資に妙味あり