米国株配当利回りランキング(時価総額1,000億ドル以上)
2020年3月13日終値時点1.ロイヤル・ダッチ・シェルB ADR(RDS.B)13.02%
2.エクソン・モービル(XOM)9.13%
3.ウェルズ・ファーゴ(WFC)6.60%
4.シェブロン(CVX)6.19%
5.AT&T(T)6.03%
6.フィリップ・モリス(PM)5.89%
7.アッヴィ(ABBV)5.53%
8.ファイザー(PFE)4.65%
9.ベライゾン(VZ)4.54%
10.シティグループ(C)4.00%
11.シスコシステムズ(CSCO)3.83%
12.JPモルガン・チェース(JPM)3.46%
13.コカ・コーラ(KO)3.38%
14.ブリストル・マイヤーズスクイブ(BMY)3.27%
15.メルク(MRK)3.18%
16.アムジェン(AMGN)3.17%
17.ペプシコ(PEP)3.00%
18.バンク・オブ・アメリカ(BAC)2.98%
※IBMは知らぬ間に時価総額1,000億ドルを下回っていたため除外。
予想通り、エネルギー、銀行、製薬が多い。時価総額の縛りを除くと上位はエネルギーセクターが大半を占める。
エネルギーセクターの配当性向は過大
今回は減配リスクを図る上で、配当性向に着目した。※配当性向の計算においては2020年12月期の予想EPSを使用。(より詳細に分析するならば合わせてキャッシュフローの精査をすることが望ましい。)エネルギーセクターの配当性向
ロイヤル・ダッチ・シェルB ADR(RDS.B)90.82%
エクソン・モービル(XOM)138.64%
シェブロン(CVX)90.53%
原油価格の急落を受けて、エネルギー企業の利益見通しは軒並み引き下げられている。特にエクソン・モービルの2020年度の予想EPSはこの1週間で20%も下落したが、その予想に基づく配当性向はなんと138%だ。シェルやシェブロンも今期の配当性向は90%を超える可能性がある。配当利回りは魅力的に見えるかもしれないが、その評価には大幅な割引が必要だろう。
銀行セクターの配当性向
ウェルズ・ファーゴ(WFC)51.65%
シティグループ(C)24.37%
JPモルガン・チェース(JPM)33.70%
バンク・オブ・アメリカ(BAC)24.49%
銀行セクターは規制の影響もあり、配当性向は健全だ。今のところ減配リスクは低いが、低金利が常態化するようであれば業績の下振れは避けられない。
IT・コミュニケーションサービス配当性向
AT&T(T)57.62%
ベライゾン(VZ)49.80%
シスコシステムズ(CSCO)44.44%(EPSは2020年7月期)
ヘルスケアセクターの配当性向
アッヴィ(ABBV)48.81%
ファイザー(PFE)52.96%
ブリストル・マイヤーズ(BMY)29.22%
メルク(MRK)38.92%
アムジェン(AMGN)40.76%
生活必需品セクターの配当性向
フィリップ・モリス(PM)83.87%
コカ・コーラ(KO)72.90%
ペプシコ(PEP)65.00%
今週17-18日に行われるFOMCではほぼ確実に利下げが実施されるはずだ。また米国10年債利回りは史上初の1%割れとなったことで、高配当株の魅力は相対的に高まっている。ただし冒頭に紹介した高配当株を順番に揃えたポートフォリオを組めばいいというものではい。
高配当株投資の注意点
・そもそも現在の低金利下で、何故それほど安く放置されているのか?普通は疑問を持つべきであり、実際に業績に難があるケースが多い。・自社株買いや配当のため借入をするケースも多く、今後も本当に高い配当を維持できるのかどうか?
・高配当の筆頭であるエネルギーセクターは「原油価格」、銀行であれば「金利」というように非常に不安定な要素に依存している。
・ヘルスケアセクターでは特許切れで大半の利益を失うリスクがある。
エクソン・モービルは過去37年連続で増配しているが、それはこの4月にも38年に更新されるはずだ。どれだけ原油価格が下落しようが、同社の強固なバランスシートを持ってすればメンツを保つことは容易い。しかし増配とは名ばかりで、その実態は利益以上の配当を支払うために多額の借入を行っているだけである。昨年支払った146億5,000万ドルの配当金のうち90億ドルを借入にて賄っているが、今期はさらなる資金調達が必要になるかもしれない。
別にそれが全て駄目というわけではないが、本質的な株主価値を引き上げているとは言い難い。現在のような不安定なマーケット環境において「配当利回り」は確かに大きな勇気になるが、目に見えるものだけを信用することは危険だろう。
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