2020年の米国株式

2019年の振返り

19年のマーケットを総括するならば「改めてFRBの利下げ威力を見せつけられた。」という一言に尽きる。18年の利上げ政策から一転して、3度の利下げに踏み切ったことにより、米国株は大幅高。年間上昇率はS&P500が+29%、NASDAQが+35%、DOWが+22%となった。(配当含まず)



結局のところ米中貿易摩擦や世界経済の減速などの不安要素を「FRBの緩和」と天秤にかけてはいけなかった。「Don’t fight the Fed」、「FRBには逆らうな。」の格言通りで、慎重になってマーケットから離れてしまった人は完全なる敗北となった。





値上がったのは株だけではない。金、原油、債券などほぼ全てが値上がりしている。金は+19%、原油は+35%といずれも数年ぶりの大幅高だ。2019年の上昇相場はおよそ実体経済とはかけ離れたバブルの様相を呈していることは間違いないだろう。



IMFは昨年、世界経済の成長率を下方修正し、19年の成長率は08-09年の金融危機以来の低い伸び率になると予想している。ただ繰り返しになるが、過去10年の上げ相場では慎重になってマーケットから退出した人が大きなチャンスを逃してきた。上昇のエンジンとなった世界的な金融緩和は未だに続いており、FRBの金融政策の転換点が大きな岐路となる。


2020年の見通し

2020年の米国株式は全体で見ればかなり苦戦するだろうが、理由はS&P500のPERが既に19倍に達していることにある。2018年末は15.4倍だったことを考えると現在はかなり割高だ。「株価=EPS×PER」で計算されるため、当然ながらPERがこれ以上上昇しないと仮定するとEPS、つまりは利益を伸ばすしか上昇余地はない。


しかし足元の企業業績は苦戦しており、2019年は完全に自社株買い頼みだった。アマゾンの年末商戦は過去最高だったとのことだが、引き続き好調な個人消費がどこまで牽引するかだろうが、過度な期待は禁物だ。




2020年に向けて国内外のアナリストの推奨を幾つか見たが、金融と資本材が人気だ。ただし私は一時的な割安感で銘柄選定をすることは好まない。私なら最低2ケタの成長が期待できるソフトウェアやクラウド、インターネット企業中心のポートを組み、5年で投資先企業のトータルEPSが1.5〜2倍になるように期待する。
これらの企業は利便性ならびに生産性向上、さらにはコスト削減のために必要不可欠な存在となりつつあり、貿易摩擦や景気に左右されることなく成長すると予想している。



世界経済の成長率は今後もどんどん鈍化するだろうし、下手したら近いうちに景気後退局面を迎えるかもしれない。大した成長が見込めない企業を買うよりも多少割高でも5-10年スパンで大きな成長が期待される企業への投資が有効だと考えている。

参考銘柄

インターネット広告

フェイスブック
アルファベット

Facebookは依然として有望
2020年アルファベット株の上昇余地は大きい。

ソフトウェア

マイクロソフト
セールスフォース
アドビ
オートデスク
インテュイット
トゥイリオ

ソフトウェア企業の躍進
2019年クラウド関連 注目銘柄
トゥイリオの業績は順調に拡大