PTC株の現状について

PTC


読者の方からの質問コーナー

PTCの株価が随分ヨコヨコが続いています。いつも上がっては決算で下げの繰り返しで、この一年は恩恵を受けられていないです。PSRも10前後ですし、かなり妙味があるのではと考えておりますが、いかがお考えでしょうか?



ご質問ありがとうございます。



PTCに関しては年始に注目株として紹介させていただきましたが、残念ながら今のところ株価は冴えないものとなっております。今回の記事では、なぜ今年のリターンが低迷しているのかと現在の投資妙味について、私なりの考えをお答えしたいと思います。


PTC_chart


PTCの具体的なビジネスや展望については過去記事を参照いただき、今回は主に株価の理解やスタンスを中心にお届けしたいと思います。


・IoT/ARで先行するPTCの成長余地は大きい

・エンジニアリング系ソフトウェア企業は新たなイノベーションの中心にいる



上昇相場で株価が冴えない場合、たいてい業績に難がある場合が多いのですが、PTCの場合はそれに当てはまりません。



例えば2021年9月期通期の予想EPSは、年始の時点で2.79ドルだったものが現在は3.53ドルと27%も引き上げられています。同売上高も15.8億ドルから17.6億ドルへと大きく上方修正され、これは成長率換算すると9%から20%と2倍以上に引き上げられた事になります。(市場コンセンサスは過去記事にも掲載しております。)



また今年に入ってから既に3度の四半期決算を発表していますが、売上高、EPSの実績と見通しは一度たりとも市場予想を下回ったことはなく、さらには4月にはS&P500に採用されるなど需給面でも恩恵を受けています。



このように複数の好材料があるにも関わらず株価が軟調なケースは往々にしてバリュエーション判断に誤りがある事が多いのですが、今回についても同様であると分析しています。






正直なところ予想以上に業績が上振れた時点で勝ったつもりでしたが、今年の動きを見る限り、実は年始の時点でかなりバリュエーション過大だった可能性があるということです。つまり今年の結果の悪さは、行き過ぎたバリュエーションの解消局面に出くわしてしまったということです。



このバリュエーションの調整というのは、好調な業績にも関わらずに株価が伸び悩む際によく見られる現象です。バリュエーションがどこまで許容されるかは、市場環境にも左右され、かなりアバウトなものです。ただ少なからず明らかになった事は、市場はPTC社を高成長グロースのバリュエーションとしては容認しなかったことです。



それどころか同社を含めたエンジニアリングソフトウェア企業はまだまだマイナー株の扱いで、驚くほどに人気がありません。さらに好調な業績にも関わらず来期22年度の市場コンセンサスは再び1ケタ成長に戻るとの予想が占めており、同社に対する評価がまだまだ低いと痛感させられます。



そのため現状はハイグロ寄りのバリュエーションを当てはめる事は適切ではなく、むしろ市場の評価を見ていると、より成熟したソフトウェア企業であるオラクルや、良くてセールスフォースぐらいまでのバリュエーションが限界かと考えられます。そうなると現在の予想PSR8倍は思ったよりも安くはないかもしれません。



将来の成長が過小評価され続ける限り、バリュエーションは押さえつけられることになるでしょう。そうなるとまさに長期投資で時間をかけてリターンを取るしかありません。



投資妙味について


同社の成長と市場全体のバリュエーションを考慮すればPER35倍は十分投資に値すると思います。ただ万人にお薦めできるかと言うと難しいところです。なぜならオートデスク、ダッソーシステムズ、シーメンスなどのライバルと比較すると存在感はまだ薄く、長期的な成功が約束された会社ではないからです。



単に勝ち負けにこだわるのであれば、ソフトウェアの領域ならば、アドビやマイクロソフト、セールスフォース、サービスナウ、インテュイット、オートデスクなどの業界トップ企業を選択し、勝ち組企業がさらに大きくなる過程をマネタイズする方がはるかに確率は高いと思います。そのためPTC株はいくつか上げている推奨株の中でもかなりリスクがある案件だと思います。



それでも私が注目に上げたのは、パンデミックを機に製造業のデジタル化が加速すると踏んだからであり、その点で同社のビジネスポートフォリオが魅力的に見えたからです。例えばオンプレミスが中心のCADやPLM業界においてSaaS製品で先行するのはPTCであり、さらにはIotやARなどの新事業が急速に拡大しています。



加えてマイクロソフトやロックウェルオートメーション、ANSYSなどの仲間作りも上手く、2010年から務めるCEOは優秀で、任期は2023年まで延長されました。



現CEOが辞めるかビジネス的に問題があれば途中で見切る可能性もありますが、あくまで5年以上のスパンで見れば勝負する価値はあると思っています。ただ投資ポートフォリオの大部分を占める企業には相応しくなく、無理のない10%以内におさめ、忘れて放置するぐらいのスタンスがベストかと思います。