トレーダーと長期投資家の戦略は全く異なるもの

pixabayより

トレーダーと長期投資家の戦略は全く異なるもの

違いを端的に言うと短期トレーダーはボラティリティをマネタイズの機会と見なすのに対し、長期投資家は企業の本質的価値を追求することでリターンを得ようとするものだ。どちらが優れているとかではなく、根本的にスタイルが異なるために重視すべき要素や時間軸は異なってくる。

企業の本質的な価値は、数日で変わるものではないが株価は毎日変動する。つまり日々のボラティリティは企業業績とは全く無関係の要素で動いている。そのボラティリティを捉えようとすれば業績よりも需給やトレンドを重視するだろうし、逆に長期投資家にとってはノイズとなる要素だ。

またリスク管理の方法も全く異なり、長期投資は時間と分散を基本とした戦略だが、短期トレードはロスカットが最重要戦略となる。プロのトレーダーの場合はオプションや先物でヘッジしておくこともあるが。

双方の手法を組み合わせるのは難しい

どちらの手法が優れているかという答えはないが、アプローチや管理が根本的に異なることは理解しておく必要がある。実は短期・長期双方の投資手法を組み合わせることは極めて難しいのだ。例えば長期派が日々のボラティリティを気にしたり、損益を理由に売買を行うことには一貫性がない。いくら儲かったか損したかは企業価値の判断には一切関係がなく、売買の理由になってはおかしいはずだからだ。

中間的なアプローチを行っているという主張は、自分の都合のいいように解釈していないかを注意する必要がある。短期のつもりが塩漬けによって中期になったり、長期のつもりがマーケットのプレッシャーに負けてついつい売ってしまう。または上がれば短期トレーダー、下がれば長期投資家になってしまう結果主義だ。

それらが起こるのは戦略を一貫できていないこともあるのだが、最大の理由は受け入れざる得ない不確実性を理解できていない証拠かもしれない。

短期トレードは難易度が高い

短期になる程に不確実性は増大するため、思惑と外れたら躊躇なくロスカットすることが重要となる。プロのトレーダーだって市場の事を何でも知っているわけではない。不確実性を受け入れ、すぐに逃げるかヘッジするかでリスクをコントロールしている。

その点長期投資の優れた点は、全てがシンプルなことだ。短期トレーダーのように煩わしいことを考える必要はなく、一貫した戦略を継続しやすい。

あくまで個人的な考えだが、一般投資家にとって短期トレードのハードルは高いだろう。下手すると数年後にはインデックス投資家にボロ負けしている可能性すらある。

いずれにせよ短期と長期の戦略は別物で、さらにいいとこ取りすることが難しいことを理解しておくといいだろう。あとはそれぞれの特徴を理解した上で、一貫した判断を行っていくことが何よりも重要だ。