真の長期投資家になるために必要なものは、心得でも知識でもなく評価益
長期投資の有効性は理解していても、実践するのはなかなか難しいものだ。理由は簡単で、理論や知識だけでは絶対に足りなくて、積み上げた評価益こそが人を真の長期投資家へ導くものだからである。
なぜ本物の評価益が必要かと言うと、長期投資家にとって売却を躊躇させるのは、税金だからである。これはかなりのストッパーとなっている。仮に確実に株価が下がると分かっていても、投資家全員が売るとは限らない。過去3年間でアップル(AAPL)の株価は2.7倍、マイクロソフト(MSFT)は2.4倍、アマゾン(AMZN)は2倍となっている。例えば株価が2倍になっている場合、売却すると10%が税金でもっていかれる計算になる。
※100→200ならば、税金20、手取り180(20%計算)
評価益が少ない投資家は、売却の抵抗がないゆえにあっさり売れる。売買コストの低下はさらにその傾向に拍車をかける。
一方、評価益を抱える長期投資家にとって売却は投資資金を大きく減少させる。そのため多少の下落で売るわけにはいかないのである。
そうなると徐々に目先の動きに対して関心が薄れる。考えるのは給与や配当金などのキャッシュフローから回す新規案件のことばかりで、最近の下落に関してもあまり気にしていない。
株は長期では業績にほぼ連動するが、短期では市場の気まぐれや運に左右されるため予想できる事は限られる。一番悪いのは、どうしようもない不確定要素を明らかにしようとして無駄に時間を費やすことだ。成功している長期投資家は、目先の売買にほとんどメリットを感じなくなるため、無数のノイズを排除することができる。実はこれこそが多くの人にとっては最適な投資方法であるのだ。
賢明なる米国株投資のために投資家が大切にすべきこと