2019年1-3月期も好決算
売上高は前年同期比+81%の2億3,310万ドル。(予想2億2344万ドル)
調整後EPSは0.05ドル(予想0.01ドル)、GAAPベースは−0.31ドル。
※2019年2月1日から買収したSendGridの収益を含む。除くと売上高成長率は+60%。
合わせて2019年度通期のガイダンスについても売上高、EPSともに上方修正。
売上高:10億6,000万ドル〜10億7,000万ドル→11億2,000万ドル〜11億11,000万ドル
調整後EPS:0.08ドル〜0.11ドル→0.11ドル〜0.13ドル
決算を受けて三菱UFJFGが150ドル、バンク・オブ・アメリカが160ドルへ目標株価を引き上げた。
トゥイリオ(TWLO)は通信プラットフォームを手掛けるAPI。アクティブユーザー数は2019年3月末で154,797となり、2018年3月末時点の53,987から急増しているが、そのうち約84,000が買収したSendGrid分。それを除くと約71,000人となり、前年比+31%増加。
2018年度の海外売上高比率は25%で前年の23%から拡大している。同社は世界26言語へ対応し、9つの地域に27のクラウドデータセンターを要してグローバルニーズもサポートしている。
あらゆるものに音声・ビデオ・テキストを組み込むニーズは拡大しているが、対話型自動音声(IVR)やチャットボット、リマインダや通知などの開発には手間やコストがかかる。しかし同社のAPIを使えばこれらのソリューションぐらいなら数分で構築が可能だ。カスタマイズの容易さや視覚的なワークフローエディタによる操作性は開発者からも人気が高い。
クラウドの普及とともに、通信の手段は大きく替わるだろう。従来のハードウェアに依存したオンプレミスの流れは大きく変わり、同社のような企業が入り込む余地は大きい。特にコンタクトセンター機能を提供するTwilio Flexは強力なプロダクトだ。トゥイリオによるとコンタクトセンター市場におけるオンプレミスの割合は未だに80〜90%と推定されており、成長余地は明らかに大きい。
クラウドの普及とともに、通信の手段は大きく替わるだろう。従来のハードウェアに依存したオンプレミスの流れは大きく変わり、同社のような企業が入り込む余地は大きい。特にコンタクトセンター機能を提供するTwilio Flexは強力なプロダクトだ。トゥイリオによるとコンタクトセンター市場におけるオンプレミスの割合は未だに80〜90%と推定されており、成長余地は明らかに大きい。
クラウド・キング
CNBCの人気金融番組「MAD MONEY」の司会者として有名なJim Cramerは、「クラウド・キング」という7つの推奨銘柄を出しているが、今月Twilioを組み込んだ。
他にはAdobe、Salesforce、ServiceNow、VMware、Splunk、Workdayを推奨している。米国内の認知度も確実に高まってきており、今後もまだまだ注目だ。
見通しとリスク
トゥイリオのビジネス領域であるCPaasの将来性は極めて有望で、同業に対する優位性も高いが、やはり心配の種は競争環境だ。相手はAvaya、Cisvoなどの従来型のオンプレミスベンダーからネットワークサービス・プロバイダ、類似する製品を手がけるソフトウェア会社まで幅広い。特にBandwidth.com、Nexmo、Plivoなどは強力な相手であり、数年以内に価格競争が激化するであろう。サブスクリプションビジネスの大半は長期契約を結んでいるわけではないため、顧客はいつでもペナルティなしで解約できる。
これには悪い記憶がある。3年ほど前、売上高の14%を占めていたUberが通信機能を内製化、つまりトゥイリオのサービスを減らすと発表すると株価は急落した。
しかし一部の大口顧客に集中していたリスクは、顧客数の増加とともに薄れつつある。現在のところ売上高で1割を超える企業はなく、最も依存度が高い企業はWhats Appだが、それでも2018年度は全体の7%程度まで縮小した。上位10社が占める割合も2016年の30%から2018年には18%まで低下している。
しかし一部の大口顧客に集中していたリスクは、顧客数の増加とともに薄れつつある。現在のところ売上高で1割を超える企業はなく、最も依存度が高い企業はWhats Appだが、それでも2018年度は全体の7%程度まで縮小した。上位10社が占める割合も2016年の30%から2018年には18%まで低下している。
トゥイリオ本体では、顧客数の増加率約30%に対して、増収率はその倍となる60%を超えていることからも1社あたりの単価が上昇していることが見て取れる。実際に多くの企業は契約するサービスを増やし、依存度を高めつつある。
サービスの追加は成長を加速させる原動力でもあり、また顧客を囲い込むために必要なものだ。昨年20億ドルという割高な価格で買収したメールAPIのSendGridもサービス補完の上で必要なものであった。さらに研究開発費や開発者向けのマーケティング活動や広告宣伝費は拡大傾向で、社員向けストックオプションも大きく、コストは増加傾向だ。
過去の買収企業
2015年Authy
2段階認証プロセスのセキュリティ企業。認証機能をアプリケーションへシームレスに組み込むためのAPIを提供する。
2016年Kurento
WebRTC企業。 大規模なグループ通信への対応、コーディングや録画、 高度なメディア処理を手掛け、現在はProgrammable Videoに統合されている。
2017年Beepsend
スウェーデンのSMSプロバイダ。ネットワーク事業におけるプロダクトやサービス強化のために買収。
2018年Ytica.com
コンタクトセンターレポート作成、音声分析、および最適化ソリューションを手掛ける。既に強力な製品となりつつある「Twilio Flex」を支えている。
まとめ
AlexaやGoogle Homeをはじめ今後人がAIと会話する機会が増加する。企業は顧客を獲得するためにはこららのスキルへ対応する必要があるし、多様化するデバイスやSMSとも付き合わなければならない。またオムニチャネル化や配車サービスの拡大、遠隔医療などの新しいサービスは、顧客とコミュニケーションする機会を一層増加させる。そういった未来の考えると通信クラウドで高い技術力とシェアを持つトゥイリオの将来は明るいであろう。