Twilioは収益予想を引き上げたが、Microsoftがライバルとして登場

 
クラウドコミュニケーションプラットフォームのTwilioは、3Qの売上高が4.01億ドル〜4.06億ドルの当初見通しを上回ることを発表した。それはつまり市場予想の407.9億ドルを上回ることを示唆しており、株価は時間外で10%近く上昇した。同社によるとさらに今後4年間において30%以上の成長と60〜65%の高い粗利が期待できるとの力強いコメントまで添えられた。

しかし好調な見通しの一方で新たな競争相手への懸念がある。MicrosoftがTwilioの事業領域を侵さんと9月に「Azure Communication Services」なるものを立ち上げた。これは開発者が音声やビデオ、チャットやメッセージを組み込むためのAPIであり、正真正銘トゥイリオとぶつかるサービスだ。

Microsoftの新たなサービスに対してトゥイリオはコメントを拒否したとのことだが、中長期的には手強いライバルになることは必然だ。従来からもAmazonとは競合していたが、ビジネス向けソフトウェアに強いMicrosoftはさらに嫌な相手になるだろう。

現時点ではTwilioはクラウド通信業界のリーダーとして確固たる地位を築いており、容易に崩される可能性は低いと思われる。それどころか当面の間はDX革命の恩恵を受け続けるだろうし、事実コロナ以降は遠隔通信はじめクラウド通信のニーズは増すばかりで1Qの売上高成長率は57%だった。AWSを通信の業界に持ち込むという、元AWSエンジニアのJeff Lawson CEOの試みは成功し、予定通り進めば本日の時価総額は400億ドルになる予定だ。

しかし高い期待感は同社のバリュエーションを一層過大にしており、今や時価総額は年間売上高の25倍にのぼる計算だ。ライバルの台頭で成長スピードが鈍化するようなことがあれば一大事なのだ。

同社の魅力的な事業を考えれば、それこそ初期投資家のセールスフォースなどに買収されていてもおかしくなかったと思う。しかしその機会はついに訪れず、今や気軽に買える金額ではなくなった。同社はオンプレミスの通信を破壊するイノベーターとして大きな発展を遂げてきたわけだが、これからターゲットにされる機会が増えていくだろう。つまりはマイクロソフトをはじめとした1兆ドル企業とも生き残りをかけて戦わなくてはならないのだが、同社のビジネスモデルや先駆者としての優位性がどれだけ通用していくかには注目していきたいと思う。個人的には引き続き「買い」の評価だ。


過去記事

2020.5.7 Twilio(トゥイリオ)の成長スピードは加速

2019.5.20 トゥイリオの業績は順調に拡大

2018.12.31 トゥイリオ